鶴の一声

靏繁樹が日々考えたことや思いついたことを徒然とかきます

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アメリカ物語2

      2018/07/04

 翌朝気付いたが、これから生活をするトレーラーハウスは、果樹園の一角にあり、あたりには家一軒ない。
周りは、果樹園を除いたら、一面荒野。西部劇に出てくる赤茶けた大地が広がり、砂漠に生える草木やサボテン、そして遠くには岩山。
 まだ、寒い時期で、その一帯は大陸性の気候で、夜になると零下まで冷え込むため、園地に設置された温度計が零下になれば、ハウスに報知される仕組みで、ベルがなると真夜中に飛び起きて、果樹園に出かけ、樹木が壊死しないようにヒーターを炊く。
ヒーターを炊くのは、その為に雇われた黒人やメキシカンが果樹園の小屋に待機しており、彼らをトラックの乗せて、園地に配備する。
 夜中に、小屋の中を見ると、失礼だが真っ黒な青年たちが、モコモコト起き上がるのは、最初は違和感があった。
何しろ、面積が広い。全部で200ヘクタールだから、日本の平均的な果樹園の100倍になる。
 翌日は、我々も一緒にヒーターにオイルを補充して回る。両手に10キロづつ、20キロを下げて回る。お陰で、この時にかなり身体が出来たようだ。
1週間ほど、先輩と一緒に仕事をして、彼らは日本に帰って行った。

 残るのは、メキシカンのイグナシオと、静岡から来た相棒。
朝から夕方まで、果樹園で仕事をする。
 仕事の内容は、砂漠だから、まず潅水。カナダから引いた水を買って潅水する。それから、除草に消毒。苗木の植え付け。
土地は、どれだけでもあるので、どんどん植えつけて広げていく。
 土地の持ち主と投資家は別にいて、我々のボスは、その管理を行いマネージメントで稼ぐ。
作物は、バレンシアオレンジ・レモン・ネーブルオレンジ・アボカド、そして、後で大産地となるワイン用のブドウが植えられ始めたばかりだった。
オーナーは、医者や投資家。

 仕事は、ほとんど機械で行うが、除草用のスプレヤーを運転するにも、1列が数百メートルある園地が多く、その内に眠くなることも多い。
 機械は殆ど私が扱うことになった。
実は、車の運転をしていて、警察に捕まったが、アメリカの免許がない。
 1週間以内に取らないと強制送還だと脅すので、急きょ2人で取りに行った。出題は英語だから、ボスに問題集を貰って、取りあえず丸暗記。
 実技は、日本では乗っていたし、こちらでも捕まるまで乗っていたから問題ない。
しかし、この時、相棒は日系農家志望だったので、英語に弱く、取得できなかったため、私が車や機械の運転をすることになり、その内、真面目過ぎるくらいの彼と、ボスとのコミュニケーションが上手く行かなくなって、数か月過ぎた頃に、ロスの近郊のリバーサイドの日系農家に移ることになった。
 そちらの農家から、いずれ交代で研修生が来るということだったが、それから、暫くは一人ぼっちの生活になった。
普段は自炊、買い出しは麓の町テメキュラまで車で30分。(つづく)

 - 雑記

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