鶴の一声

靏繁樹が日々考えたことや思いついたことを徒然とかきます

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介護

   

最近、私の母が介護施設に入所した。
 入所したと言うより、入所させたと言わなければいけないが、私たちの年代には、親を人に預けるという行為に抵抗があるし、罪悪感さえある。
 母は、もうすぐ90歳になるが、身体は頗る丈夫で、食欲もあり、身体的にはとても入所するような状態ではない。
ただ、父を20年前に亡くし、近所の人にも慕われ、人懐こいために旅行や趣味にも結構参加していたが、85歳を過ぎたころから、物忘れが多くなり、ここ2年程が急激に、頓珍漢な言動が多くなり、ついに夜間徘徊の前兆が出始めた。
 若いころは、身体があまり丈夫でなかった父の代わりに、農業で一生懸命働いていた姿が今でも残っている。
確かに嫁ぐ前の6人姉妹は、美人姉妹として評判だったらしく、父が見初めて、母を嫁に貰ってくれないと家を継がないと駄々をこねたと、いつも父の前で、みんなを笑わせていた。
 調子のいい時は、全く問題なく、他人から見ると「どこが」というようなこともある。

人によって、老化や痴ほう等の症状に見舞われるのに大きな差がある。
 大きな違いは、それまでの生き方や職種によるものが大きいが、目標があるかないかや趣味があるかないかと言うのも大きく関係しているようだ。
 例えば、明日はこうしてみようとか、今度はどこへ行ってみようなどを考えていれば、ボケる暇がない。
考えること、熱中すること、取り組むこと、人の世話をすること、感動すること。
 他家の話を聞いて、人に託すことが悪いような気がしていたが、いろんな周りの状況を見てきた中で、施設に入る人も預ける人も、その方が幸せだと思うようになった。そういう施設があることも有難い。
 何より、同じレベルの話ができる人が周りにいることがいい。
人生の最後に、お互いに迷惑がられたり、叱ったりするより、少し距離を置いて、お互いに愛おしく、会うことの大切さを感じられるような関係がいいと思う。
 ただ、そのためにも、お互いの負担を軽くするための準備はしておかなくては。

 - 社会

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