鶴の一声

靏繁樹が日々考えたことや思いついたことを徒然とかきます

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744 公立病院の危機

   

私は今、癌の抗がん剤治療を八女公立病院の通院で行っている。八女市の中心部にあり、駐車場も十分確保されており、旧八女市中心には通院も便利だが、この公立病院を共同で運営している隣の広川町や、黒木矢部などの広川町と同じ、旧八女郡の山間部地区にとっては遠隔地と言える。それでも、地域唯一の公立病院ということで、頼りにしている面も多い。    

全国に公立病院というような地域で組合を作ったり、出資型にして運営、経営している総合病院が存在している。やはり個人では、総合病院にした場合、初期投資も多いが、各科の医師を抱える必要があり、設備や維持費も負担が大きく割に合わない。そのために、市が主体となり、公立として地域医療のために多少の赤字は市の財政から補填しているのが大勢。    

八女公立病院も、以前から経営を考えると赤字で、しかも、医師が足りず、久留米市の大学病院からの医師派遣で切り抜けてきていた。近年は、全国的な医師不足が加速する中で、同じく大学病院から医師を受け入れている筑後市立病院との合併話が幾度となく出ていた。議会でも、赤字だけが取り上げられ、議員の中でも合併や合理化、民営化などの意見がでるようになっていたし、組合の中でも広川町なども財政補填や、再建にも反対が多かったようだ。公立というものは、病院に限らず、市民サービスということで採算抜きの面もあるし、経営に甘くなって、採算が取れなくなるケースが多々ある。   

実は、今日の診察で、担当医から突然、現在治療を受けている消化内科が、公立病院から無くなると言う話を聞いた。来月から抗がん剤治療が出来なくなり、その消化器内科の医師始めスタッフも、全員、他の病院か他の科に移動するとのこと。本当に冗談としか思えないような突拍子な話。ほとんどの患者は知らないと思うが、とにかく、患者が少ないからやっていけないという状態なら無理もないが、待ち状態から、病院内でも一番多い方だと思われる。

この公立病院という仕組みが分かり難い。誰が最高責任者なのか。誰の権限でこういう措置が決まるのか。こうせざる前に、経営改善努力を極限までしてきたのか。

それよりも、現在治療中の患者をどう転院させるのか。生死をさまよっている患者。高齢者の患者。通院県内にその科がない患者。何じゃ患者。私の場合は、末期の膵臓癌で抗がん剤投与しか治療方法がないので、またまた隣町の病院をその場で紹介してもらったが、そこがダメだった場合、かなりの遠隔地となり、そうなれば通院で体力を消耗することもありうる。     

地方公共団体の医療の赤字問題は、これからも改善することはない。赤字でも市民サービス、市民を守ると言う姿勢で、財政支出を続けていくのか。何とか運営可能な線まで、市民に負担をお願いするのか。民営化するのか。廃止してしまうのか。病院と言う施設は、他の公共施設とは違い、市民の命がかかっている。だからこそ、公共と言えども、経営のトップまたは連帯責任者は相当の責任を認識する必要がある。     

こういう問題が出ると、よく出てくるのが民営化。民営病院は経営が成り立っているし、鉄道や遊園地など、民営化すると成り立つようになる。それならば何で、現状がダメなのか分析したり、民間のプロを呼んで改善しないのか。駄目なところを指摘されたくないのか。駄目だしされたくないのか。     

とにかく、私は病院の責任者ではないし、来月からスタッフの移動も決まっているような状況で、方針が覆せるはずもなく、来月から私立の病院に転院することになり、また、初めから担当医のコミュニケーションも必要になるし、仲良くなれた美人の看護師さん達ともお別れになる(笑) それでも患者は病院の指示に従うしかない人質みたいなもの。ただ、私は人質にはならない。自分の命や身の振り方は、医師の話は尊重しながらも自分で決める。

 - 雑記

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