鶴の一声

靏繁樹が日々考えたことや思いついたことを徒然とかきます

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50年後の日本

   

 車は、殆どが自動運転となり、空気圧で浮き上がることが出来て、多少は道がないところでも走れるようになった。
もちろん、水陸両用もあり、水中でも潜れるものも多い。
車庫の多くは、郊外にあり、無線利用で自動運転で送迎し、自動的に車庫に戻るため、都市部は最低限の駐車スペースで済むようになった。
 燃料は、電気と水素に統一されて、たまにクラシックで昔のガソリンやガス燃料車が走っているが、燃料補給が大変。
道路は、混まないように2段3段と立体的になった。
 そもそも都市部では、運搬車や営業用以外の乗り入れが禁止され、リニアが地上や地下を網羅しているし、快適な自動運転の乗り合い自動車が頻繁に稼働している。

そういえば、ついに韓国と博多の間、北海道とウラジオストックの間に地下車道ができて、大陸との車での往来が出来るようになった。
 ただ、短距離非行型のハリアー型小型飛行機の利用が多くなり、中国や台湾の距離の行き来には不便もなくなっている。
因みに、韓国は30年前に財政破綻して、いまも尾を引いているが、北朝鮮が、その前にクーデターで政権崩壊したことで、今再び一つの国になろうとしている。
 中国は、温暖化が進んだことで、砂漠化が進み、都市は沿岸部に集中し、海外を経験した若者たちの力で、共産党が弱体化し、いくつかの新党が出来ている。とにかく世界の殆どの国が、経済成長の壁、少子化と高齢化の試練を受けている。

 さて、日本は地上温度が夏場だと50度近くなり、建物は地下部分が多くなった。
温暖化対策は、各国の危機意識が高まり、研究も進んだことで最悪な事態は免れたが、回復するには至っていない。
 九州から中国、四国までは亜熱帯地域となり、農業放棄地などの荒れた土地には亜熱帯植物が生えている。
西日本の海も、殆どは熱帯魚にサンゴ礁という、昔の沖縄の風景となり、会社や学生の制服もなくなり、アロハシャツ系の衣服に変わってしまった。
 みかんや桃、梨などの果物は北海道に集中し、野菜は野菜工場で栽培されるようになった。
地方の町は、極端に核都市に集約され、学校も小中高大学まで一貫となり、入学試験はすでに廃止されている。
 塾はなく、塾の教師は、全てインターネットに取って代わられた。
勉強よりも一歩早く、会社の仕事も事務系は、殆ど自宅や喫茶店、リゾートでも出来るようになった。
50年前から、数回に渡り、東海関東地区に、大きな地震が来たことで、ようやく首都遷都と分都が真剣に話し合われるようになってきた。

温暖化で水位が上がり、かつての海沿いの埋め立て地の殆どが水没し、魚の養殖場などに変わってしまった。
 人の細胞など、生命の研究が進み、50年前と比べると、更に10歳は若返り、平均寿命も95歳まで伸びた。
政府は、若い労働力不足を補うために30年前に、外国人労働者を解禁したために、工場やオフィスも全体の3割程度が外国人となっている。特に工場はロボット導入が進み、重労働や単純作業はほとんどが機械化された。
 オフィスもAIの導入が急速に進み、事務職の人員も大幅に減員となって、閑散としている。

 結婚する人が稀になり、子供はほとんど人工的に授精、育成させられるようになり、子供の数は政府の計画に沿って方向づけられる形に変わった。基本は夫婦二人だが、自由恋愛や3人または同性夫婦も多くなっている。
子供の形成も、優秀な遺伝子の組み合わせが可能となり、優秀で似たような子供が多くなった。
 人工的に人を作る研究も成功したが、国際的な決議として、今は抑止されている。
ただ、身体は若返り、まだ脳の老化防止が追い付けない、痴呆症老人の比率が増え、介護を外国人で補ってきたが、国の財政が成り立たなくなり、数年前、ついに尊厳死を認めることになった。

 70年前を知る老人は、きつい仕事は減り、何でもボタン一つで済むようになったが、「まさかこんなスピードで世界が変わるとは思わなかった。今は無味乾燥的な社会で、やはり昔が良かった」と懐かしんだ。なんてね。

 - 雑記

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