鶴の一声

靏繁樹が日々考えたことや思いついたことを徒然とかきます

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650 天皇

   

今回、天皇が生前退位され、新天皇が誕生したことで今までに無いほど、天皇家が脚光を浴びることになった。勿論、天皇と言えば、我が国唯一の存在で、総理大臣初め、他のどんな地位とも違い、選挙や推挙で代わるものではないという、まずその点にある。

天皇制については、過去にもいろいろな意見が出されてきた。過去の時代のように、天皇がお上と呼ばれ、神格化された特別な人種だとは、現代人は誰も思っていない。元を正せば、我々と同じ日本国民であり、その中のリーダーとして祀り上げられてきた存在か、または征服者だったのかもしれない。或いは特別な能力を持っていたのかも知れない。

同じ人間ならば、近代国家になったこの時代に、天皇として別格化して、特別に多額の国費を供する必要がないのではないか。また、直接関わらなくても多くの犠牲を出した戦争の象徴となったことに対する責任論も出た。

しかし、それで、天皇制を廃止して何が日本に残るのか。今の日本を見ると、天皇制という制度は、間違いなく国益の面が多いと感じる。地域でも会社でも国家でも、やはり、それが纏まるための中心が必要だ。そして、それは武力や権力に因らない求心力が一番いい。その点、日本の天皇は国民の象徴として、政治経済と別世界で存在し、政治にも利用されない。

また、世界各国の王家などが、その時代々に武力で創り上げられ、歴史も短いのに対して、これ程続く天皇家は他に類を見ない。隣国の中国でも、4千年の歴史を誇っても、王朝は争いの中で全く別の血統に変わってきた。比較的長かった明朝や清朝も300年に満たないし、英国の現在の王家も500年に満たない。その点でも、初代神武天皇からは2500年以上、これは真偽が定かでないが、正式に天皇と記録に残る天武天皇からでも1400年近く続いている。まさに日本が誇れる歴史的な事実だと言ってもいい。それ程、我が国は大事なものを守り続ける、精神面を大事にする民族だと言っていい。

日本人は素晴らしい感情や感覚を持っている。一方では世界の先端を行く感覚を持ち、科学的に物事を分析したり応用したりしているのに、自然界の美を意識したり、天皇制のような歴史や伝統を重んじる精神的な物心面を持ち合わせている。どこかの国のように過去の一部や損得一面だけで動かない。

今回の関連した報道の中で、海外の取材において、先の天皇、まだ生存中は平成天皇とは呼ばないらしいが、つまり上皇様が、海外の日本人観において大いに貢献されたことを報じていたが、これからも政治外交と違った、草の根外交と合わせて、天皇の外交は国益になると思われる。

最後に、外務省のキャリアウーマンとして活躍が期待されていながら、苦労を覚悟の上で皇室に嫁がれた新皇后が、心身ともに元気になられることを祈りたい。

 - 雑記

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