鶴の一声

靏繁樹が日々考えたことや思いついたことを徒然とかきます

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575 スペイン視察

   

 先週、スペインのバレンシアとムルシアという都市を訪れた。
目的は、みかん缶詰生産会社の組合による、みかん産地と現地缶詰会社の工場視察。
 世界の中で、よく見られるみかんの缶詰を作っているのは、日本、スペイン、中国、韓国。
日本が最初に作り始めて、それをスペインに技術移転して、更にその後、中国で指導をしてきたが、結果的には、中国の生産が増えて、それが日本やスペインのみかん缶詰生産の衰退に繋がったという皮肉な結果になってしまった。

 日本も最盛期に250社近くあったみかんの缶詰会社は、現在10社となってしまったが、スペインも、中国品の安値攻勢で、23社あった会社がついに2社になってしまった。
 日本もスペインも最盛期の頃は、もっと相互交流をしていたらしい。

 今回は、この2社を訪問視察させてもらった。
 八女の自宅を朝5時に出て、福岡空港から成田へ。成田で同行の8人と合流して、マドリードへ。成田からは13時間の飛行時間。マドリードの空港に夕方着いて、その日は食事だけで、翌朝8時発で、バレンシアまで貸切バスで6時間。
 バレンシアは、その名の通り、バレンシアオレンジの産地で、日本の温州みかんと同じ、さつまマンダリンと呼ばれるみかんも栽培されている。
この苗木も日本から持って行ったもので、これが缶詰の原料となる。

 バレンシアに近づくと、一面にみかん園が広がり、1つの園地が、日本の10倍以上の広さで、日本の山間部と違い、広大な平地で、作業も機械化されており、収穫の際は、その樹間に大型トラックが乗り入れる贅沢な間隔を取ってある。
 日本の段々畑では考えられないことだ。
 収穫だけは、機械で出来ないので、現地で足りない労力は、モロッコから雇用しているとのこと。
 スペインでは、みかんの市場価格が、日本のように高くないので、缶詰用も契約栽培できるという、うらやましい原料事情だ。

 工場の生産ラインは、日本から移転したということで、日本の設備と全く同じだが、原料が豊富にあることで、1工場当たりの規模は日本の工場の5倍くらい。1社で2万トンから2万5千トンを処理するとのことで、1日に約350トン。
 写真撮影は出来なかったが、両社とも丁寧に説明しながら見学させてくれた。
両社の社長や幹部とも、食事を一緒にして、同業として抱えている同じような問題や、今後の見通しや協調などについて、和気あいあいの内に話ができた。
 
 スペインの国土は、日本の1.3倍だが、平地の面積はおそらく10倍以上あると感じる。人口は4千万人強。
 都市部を1歩出れば、広大な平地が広がっている。
マドリードの気温は東京と同じくらいだが、バレンシアは5度くらい高いとのこと。

 今回は、各訪問先までの距離が長いので、移動に時間がかかり、食事以外の時間は常時バスに乗っているようなもの。また、スペインは、食事の時間が遅く、昼食は大体午後2時前後、夕食は8時過ぎがノーマル。
 視察が終わって最終日は、ホテルに夕方着いて、ギリギリ入館に間に合うということで、ベラスケスやエル・グレコの作品で有名なプラド美術館に行き、その後食事を兼ねて、本場のフラメンコを鑑賞できた。
 流石に、本場のフラメンコを目の前で見ると、日本のそれと比べて迫力が違う。
さすがに、帰りの飛行時間と乗り継ぎはきつかったが、1日置いて、タイ出張が待っているので、ここでくたばる訳にはいかない。

 - 政治経済, 経営, 雑記

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