鶴の一声

靏繁樹が日々考えたことや思いついたことを徒然とかきます

*

春が来る

   

 東北や北海道は、まだ積雪が残っているが、九州はどうやら実感として冬は終わった。
寒くても、最低温度が4~5度。最高は16~18度という日が多くなった。
 まだ、桜の時期まで、花冷えという冷え込みが来るが、相当日没時間も遅くなり、最も日が短かった時期からは完全に1時間は長くなっている。
 明るくて、あまり早く飲みに行けないということになる。
何とか学園も、申請取り下げで、騒ぎが収まりつつあるけど、やっぱりトカゲ尻尾・・・

 首相夫人の美恵子は、ある友人を通じて知り合った、山本学園グループの山本理事長から、今度、首相が主張しているような日本人を育てるための小学校を作る計画なので、名誉学長になって欲しいと持ち掛けられた。
 そもそも、学校建設のために購入したい土地が高すぎて、経営が成り立たない。今後の購入や認可申請、補助金申請、そして生徒募集にも、首相夫人の肩書が付いていれば、随分とやりやすい。
 山本は、妻の幸恵と相談して、幸恵の伝手を利用して恵美子を抱き込む算段をしたのだった。
 もともと、恵美子は、大物政治家一家のプリンスであり、当時、国会議員になりたての安西と見合い結婚はしたものの、くそ真面目な夫の安西とは、相性が合わず、安西が首相になってからは益々疎遠になっていた。
 表向きは、良き首相夫人として振る舞っているものの、自分にすり寄ってくる取り巻きや友人連中と遊びまわり、勝手にファッションの店を出したり、請われるがままに、いろんな団体に顔を出しては、名誉職などを引き受けていた。

 今回の名誉学長勧誘も、首相の安西には相談はしなかった。時々、事後報告をして苦言を言われることはあるが、安西も恵美子の行動にはあまり関知しなかった。
 山本は、恵美子の承諾を得ると、幸恵の指示で、すぐパンフ作りを先行させた。
いつものことながら、山本は基本的に金儲けには目が無いが、戦略はもっぱら幸恵の役目だった。二人には一男一女の二人の子供がいたが、普通の家族のような親子間の信頼関係は、子が成長するほどに失われていた。
 山本は、恵美子の伝手を使って、早速、学校設立の認可申請に動いた。
同時に、そのための土地購入ということで、安西の息のかかった代議士を通じて、土地の取得に動いた。もちろん、学園設立のパンフが生きた。
 10億の評価の土地を2億で買おうというのだから、とんでもない話だが、世間には全て裏道がある。国有地だから国が認めればいい。国のトップである首相夫人がついている。
 もちろん、官公庁との交渉の席では、パンフを見せて、総理も応援してくれていると付け加えた。
「地上げの時に、悪い噂を流すのと同じですよ。その土地に悪い条件が見つかればいいんです。たとえば地中に大量の不良ごみが発見された。その撤去に相当の費用が掛かるが、それをこっちでやるので、その分値引きしろとね。豊洲市場と同じことですよ」
「お役人も人間ですから、自分の城の城主の意向に逆らって、いいことは無いしね」
相談に乗った代議士の百戦錬磨の秘書が当たり前のように言った。・・・・・・

なーんて、小説がやがて出てくるかも。

 - 政治経済, 社会, 雑記

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