鶴の一声

靏繁樹が日々考えたことや思いついたことを徒然とかきます

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夜明け前

      2018/03/30

 昨日の午後、菓子業界最大手で上場会社でもある某会社の子会社だった同業者が、その親会社から売却されたというニュースが入り、関係筋からも裏付ける情報が入った。

 ここ数年は業績が厳しいと言われ、親会社がどうするのか同業者間でも以前から話は出ていたが、買収した会社は、買収された会社より規模は小さい、その会社の地元というだけの異業種の中小企業だ。
 親会社は、その子会社を見切ったわけだが、それまで親会社から社長初め、幹部を送り込んでいながら、その後始末は、残った社員と買収先に残したまま、さっさと引き上げる。
 よくある話かもしれないが、一時、多角化に走った大企業の多くが、今、本業回帰に子会社の整理に動き始めている。
 資本の効率化とか、合理化とか名前はいいが、時流に乗って広げ過ぎた多角化を失敗して、本体が傷つかないように、トカゲの尻尾切りをしていると言うこと。
 ただ、引き受けた会社も、全く違う未知の業種を、そう簡単に経営して利益を出せるものではないだろう。それでも、引き受けたという事は、地域の地盤沈下や従業員の生活なども勘案してのことではないかと思う。

 今、我が国の経済が安定して、景気が良くなりつつあると言う。実際株価も上がっているし、求人倍率も過去に無いほど高い。
 しかし、それにはそれなりの理由もある。
政府が、政権維持のために財政改革を先送りにして財政投資や補助金をどんどん出している。
円安が定着して輸出が回復している。
労働人口減でみかけの求人倍率が上がって、実態給与も増えている。

 しかし、夜明け前が一番寒いと言うように、景気が良くなる前が、実際は一番厳しい。
新聞メディアは、大手企業の業績しか取り上げないが、その陰で、中小企業の倒産や廃業が起きている。
 まだまだ、デフレ心理が働き、自動車の価格だけは上がる一方だが、一般消費財の価格は低迷して、百貨店は散々。トヨタの利益は確かにすごいが、私たちが適正価格以上に高買いしていることに他ならない(笑)
 また、人が好況な大手企業に吸収され、中小や地方では、人手不足による生産低下や人手不足倒産も出始めた。
 まさに、今は夜明け前。

 これを過ぎると、生き残ったところは、商品価格も上がり、農産物価格もレベルアップし、また、再び不毛な競争が起きるまでの間は、その恩恵を受けるだろう。
 もちろん、受けられない業種もあるが、それは世の中に不要な業種か企業ということになるから、自ら変わるしかない。
 社会でも、経済界でも、大海を行く船のようなもの。必ず波があり、大波も来る。大波が過ぎれば暫し、平穏ななぎとなる。そしてまた波は来る。
 私たちは、常に目の前の波と同時に、その波の向こうの大波にも備え、どういう状態の時に船をどの方向に向けて、どう操るかを常に考えておく必要がある。
 引き返す勇気も必要だ。
もちろん、凪のときには、魚釣りを楽しんだり、休んで体力を蓄えることも必要だろう。

 - 信念, 政治経済, 社会, 経営, 雑記

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