鶴の一声

靏繁樹が日々考えたことや思いついたことを徒然とかきます

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たけのこ出たぞ

   

 今年、九州では桜の花が10日近く平年より遅れて満開を迎えた。
わが社では、会社創業以来85年も飽きずに、たけのこの缶詰製造を続けているが、たけのこは、桜の満開と同時に盛りを迎え、藤の花の盛りで終わると先輩から教えられた。
 私が入社した当時は、県内と熊本の合わせて3工場で最高1600tを加工した記憶があるが、現在は600トン前後と3分の1程度まで減少した。
 1品目に重きを置くと経営が安定しないために変革したことにも因るが、中国からの安価なたけのこ缶詰の流入で価格低迷が続き、生産農家の高齢化や後継者不足も重なって、たけのこの生産量が減ったのが要因。

 生産量も、加工会社も減った今になって、国産志向となり、たけのこ缶詰の需要が高まってきたが、既に量がない!!
 今年は、たけのこの発生が遅れたために、青果も高値を維持したが、原料価格も異常な高値となった。
 八女一帯には、たけのこ専門の加工会社が結構残っている。たけのこの加工開始は、平年4月の初めからなので、それに向かって、その期間の労働者を雇用しておくのだが、発生が遅れれば、その遅れた日数分の人件費は赤字となる。
 加えて、遅れれば、いつまで発生が続くか分からず、当然焦って買いに向かう。
みんなが、焦って買いに入るので、青果市況が下がってくると加工会社が買い支え、いつまでも下がらない。損得無視しての買い取り競争が始まる。

 こういう時こそ、経営者の経験と判断力が大事になる。
私は、買わせなかった。長年仕入れをやっていると勘というものが身につく。
 今年のパターンは、例えば平成何年と同じパターンで、いつがピークになって、どの程度発生するとか、価格は今後どう推移するだろうとか。
 農産物は、生産量の多い少ない、早く遅いは珍しいことではない。それにどう対応して特異な時でも損失を防ぐかこそが経営者の仕事。
 予想通り、10日遅れで、いよいよ、たけのこ出てきた。これから連休前までが勝負。
因みに、我々は出始めの早い時期のものを好むが、たけのこは早い時期より、盛りの大きめのものが美味しい。その上、安い!!

 - 信念, 経営, 農業

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